人気海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」第1話冒頭のクアラルンプールからの衛星通信で、象徴的に登場する偵察(スパイ)衛星。「24」ではシリーズ全般を通して、衛星画像が様々な捜査の局面で威力を発揮している。そしてそれは、決して絵空事ではないのだ。
2005年5月10日、グルジアの首都トビリシで、ブッシュ大統領の暗殺未遂事件が発生。演説中、何者かが手投げ弾を投げ込んだのである。幸い手投げ弾は不発だったために大統領は難を逃れたが、有力な目撃者はいなかった。ところが、7月20日、グルジア警察は容疑者を逮捕、この際、当局は「アメリカが撮影した衛星画像が、大きな役割を果たした」というコメントを伝えた。この事実は、偵察衛星からの画像によって、個人の特定が可能であるということを示している。
偵察衛星の精度は「分解能(地上の物体が識別できる最小範囲)」で表される。1960年代の偵察衛星の分解能は、10〜15mとされていた。それが最新型の“KH12”と呼ばれる衛星では、なんと6〜12cmであるといわれている。この分解能をもってすれば、特定した個人を監視し続けることが十分可能なのだ。
アメリカ人ジャーナリスト、ジョン・フレミングは、寄稿した記事の中でこう警告している。「偵察衛星は、ターゲットが屋内にいようと、建物の奥深くにいようと、乗用車でハイウェイを高速で走っていようと、いかなる天候(曇り、雨、嵐)であろうと、その人のあらゆる活動を監視できる。地球上には隠れる場所がない」。