俳優の砂川啓介(さがわけいすけ/本名・山下啓一)さんが7月11日、尿管がんのため死去したことがわかりました。満80歳。所属事務所が18日に公表しました。砂川さんは「ドラえもん」の声優だった大山のぶ代さん(83)の夫で、2015年には大山さんが認知症であることを公表、介護をしていました。
葬儀・告別式は、砂川さんの遺志により近親者で執り行いました。昨年4月に尿管がんと診断され、入院治療で介護が難しくなることから、大山さんの介護施設への入所をやむなく決断。「(大山さんより)先には死ねない」と病と闘ってきましたが、無念の最期となりました。
初代「たいそうのおにいさん」
砂川啓介さん=2015年10月撮影(スポニチ)
砂川さんは、1937年東京生まれ。1961年、NHK「うたのえほん」(※現在の「おかあさんといっしょ」の前身番組)で、初代たいそうのおにいさんとして親しまれました。俳優や「お昼のワイドショー」の司会者としても活躍。大山さんとは舞台「孫悟空」での共演が縁で1964年に結婚。
2015年、妻・大山のぶ代が認知症を患っていることを公表
2年前の2015年5月13日、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」にゲスト出演。妻のぶ代さんが認知症を患っていることを公表。また自身も13年に初期の胃がんの手術を受けたことを告白していました。
同年10月23日放送のTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」に出演。大山さんとの闘病生活と公表後の変化について語られていました。
番組では、2人の出会いや結婚生活などを再現VTRで紹介。2008年に大山さんが脳梗塞を患い、退院後の09年頃から認知症の症状が出始めたとのこと。2012年秋に大山さんがアルツハイマー型認知症と診断された場面は、とくに時間をかけて紹介されました。
認知症発覚後も、国民的キャラクター・ドラえもんの声優を務めていた大山さんのイメージを壊さないよう、砂川さんは「絶対に公表してはいけないと感じていた」と告白。しかし大山さんが5分前のことも覚えていない状況になっていくことで、砂川さんは介護生活に限界を感じるようになります。
砂川さんはついに、親友である毒蝮三太夫さんに相談し、「公表した方がいい」とアドバイスされ、2015年5月に毒蝮さんのセッティングでラジオ番組で公表。
これをきっかけに、一緒に外出するなど介護生活にも明るい変化が表れ、寝る前にハグをするなど体の触れ合いをすることで、徐々に大山さんの症状回復を実感できるようになったとのこと。砂川さんが料理をしているところに「なにか手伝う?」と話しかけるようになった大山さんを「娘だね」と表現。
また砂川さんはこの日、妻・大山さんとの介護生活をつづった『娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記』(双葉社)を出版しました。
大山さん、見送る
大山さんは、入院中の砂川さんを何度か見舞ったものの臨終には間に合わず。喪主を務めるも、お通夜と葬儀に現れなかったようです。砂川さんは入院後にマネジャーへ後事を託していて、大山さんは今後も入所している老人養護施設で生活することになります。
近年は、ジャイアン役のたてかべ和也さん、出木杉役の白川澄子さん、スネ夫役の肝付兼太さんと、大山さんの周りの方々の訃報が相次いでいます。
自分が子どもの頃は、アニメは変わらず永遠に続くものだと思っていました。しかし声優さんやスタッフの方たちの高齢化などの理由により、交代やリニューアルがあると、やはり現実に年をとるのだなと思い知らされます。
大山さんを遺して旅立たれたことは、ご本人が一番無念に思われているかと思いますが、心よりお悔やみ申し上げます。
【参考】
http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/17/obituary-of-sagawa_n_17513262.html