映画「007」シリーズで3代目ジェームズ・ボンドを演じた英俳優、サー・ロジャー・ムーアが23日、スイスの療養先で亡くなりました。ムーアさんの家族が公式Twitterに掲載した声明で発表。89歳でした。
声明によるとムーアさんは、がんとの「短くも勇敢な戦い」の末に亡くなったとのこと。葬儀については、故人の遺志によりモナコで密葬にて執り行われるという。
ムーアさんはボンド役をショーン・コネリーさんから引き継ぎ、1973年から85年まで合計7本の007シリーズに出演しました。なお2017年現在、ジェームズ・ボンド役としては歴代最多の出演記録です。
ロジャー・ムーア 経歴
ムーアさんは1927年10月14日生まれのイギリス人。警察官の息子として育ち、第2次世界大戦に従事。除隊後アメリカに渡る。無名の脇役で映画に出演したのを皮切りに、テレビでも活躍するようになり、62~69年の人気テレビシリーズ「セイント/天国野郎」で主演。1973年、46歳の時「007/死ぬのは奴らだ」でショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビーに続く3代目ジェームズ・ボンド役に抜擢されました。
ボンドとしては3代目ですが、ムーアさんはコネリーより3歳年上で、歴代ジェームズ・ボンドで最高齢でした。ちなみにムーアさんの吹替を担当したことで知られる広川太一郎さんは2008年3月に69歳で亡くなっています。
整った顔立ちとコミカルな雰囲気を持ったムーアさん演じる、ユーモアあふれるボンド像はファンから愛され、1985年の「007/美しき獲物たち」まで7作品に連続で主演することになります。
自身も「最もユーモアにあふれていたジェームズ・ボンド」と捉えていて、「私はコミカルな恋人役的で、それに比べればショーン(・コネリー)や今のダニエル・クレイグはまるで殺し屋だ。自分がダニエル・クレイグの悪口を言ったとしたら、暗い夜に彼と遭遇したくはない」と述べていました(※2014年 NPRのインタビューより)
私生活では4人の女性と結婚。1993年に前立腺がんと診断されていました。国連児童基金(ユニセフ)親善大使を務めるなどチャリティー活動にも積極的に参加。その功績が認めれ、2003年にはイギリスのエリザベス女王からナイトの称号を受けています。2007年には、国連から名誉人道賞も授与されています。
ロジャー・ムーアが出演したボンド映画
ジェームズ・ボンド役の俳優は古い作品から順に、
ショーン・コネリー(初代)
↓
ジョージ・レーゼンビー(2代目。1作で降板)
↓
ショーン・コネリー(1作のみ復帰)
↓
ロジャー・ムーア(3代目)
↓
ティモシー・ダルトン(4代目)
↓
ピアース・ブロスナン(5代目)
↓
ダニエル・クレイグ(6代目)
となっています。
第8作から第14作に出演
ロジャー・ムーアは第8作「死ぬのは奴らだ」(1973年)から、第14作「美しき獲物たち」(1985年)まで出演しました。
甘いマスクとユーモア溢れるキャラクターを演じ、落ち込んでいた007人気を復活させたともいわれています。「ボンドといえばショーン・コネリー」という常識を覆すほどの存在感を示しました。
「死ぬのは奴らだ」(1973年)
「黄金銃を持つ男」(1974年)
「私を愛したスパイ」(1977年)
「ムーンレイカー」(1979年)
「ユア・アイズ・オンリー」(1981年)
「オクトパシー」(1983年)
「美しき獲物たち」(1985年)
【参考】
https://www.cinematoday.jp/news/N0091767
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/23/roger-moore-dies_n_16777436.html